子供と一緒に家庭で始めるSDGs学び方と実践のヒント
はじめに:なぜ今、子供とSDGsを学ぶことが大切なのでしょうか
SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を耳にする機会が増えました。世界全体の目標ではありますが、私たちの身近な暮らしとも深く繋がっています。特に、これから未来を担う子供たちと一緒にSDGsを学び、日々の生活の中で実践することは、非常に意味のあることだと考えられます。
子供と一緒にSDGsを学ぶことは、単に知識を得るだけではなく、身の回りの出来事に関心を持つきっかけになります。なぜ食べ物を大切にする必要があるのか、なぜ水は貴重なのか、といった疑問を通じて、地球や社会について考え、自分たちに何ができるかを自然と学ぶことができます。そして、それは家庭でのコミュニケーションを豊かにし、家族みんなでより良い暮らし方を見つけることにもつながります。
難しく考える必要はありません。いつもの遊びや会話、お手伝いなどを通じて、楽しくSDGsの考え方に触れることができます。ここでは、子供と一緒に家庭で無理なく始められるSDGsの学び方と実践のヒントをご紹介します。
身近なテーマからSDGsを知るヒント
SDGsには17の目標がありますが、最初から全てを網羅する必要はありません。子供が関心を持ちやすい、あるいは日々の生活と結びつきやすい身近なテーマから始めてみましょう。
例えば、
- 食べ物について考える(目標2:飢餓をゼロに、目標12:つくる責任つかう責任)
- ご飯を残さず食べる、食材を無駄にしないことの大切さを話す。
- 季節の野菜や果物について調べる。なぜ旬のものが良いのか(栄養豊富、環境負荷が少ない可能性があるなど)。
- 地元の農産物について知る。
- 買いすぎを防ぐために、何を作るか計画してから買い物に行く習慣を家族で共有する。
- 水や電気の使い方を見直す(目標6:安全な水とトイレを世界中に、目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに、目標12:つくる責任つかう責任)
- 蛇口をこまめに閉める、お風呂の残り湯を活用するなど、水の節約を一緒に実践する。
- 使っていない部屋の電気を消す、エアコンの設定温度を適切にするなど、エネルギーの節約を意識する。
- なぜ水や電気が大切なのか、使えなくなるとどうなるのかを簡単な言葉で話す。
- ごみとリサイクルについて学ぶ(目標12:つくる責任つかう責任、目標14:海の豊かさを守ろう、目標15:陸の豊かさも守ろう)
- 家庭でのごみの分別を一緒に行い、なぜ分ける必要があるのかを説明する。
- プラスチックごみが海の生き物に与える影響について、分かりやすい絵本などで学ぶ。
- リサイクルマークを探してみる遊びを取り入れる。
- いらなくなったものを、工夫して別のものに作り変える(アップサイクル)ことを楽しむ。
- モノを大切に使うことを考える(目標12:つくる責任つかう責任)
- おもちゃや衣服、文房具などを丁寧に扱うことの大切さを伝える。
- 壊れたものをすぐに捨てるのではなく、修理できないか考えてみる。
- まだ使えるものを、必要な人に譲ったり、フリマアプリなどを利用したりする方法を考える。
遊びやコミュニケーションで楽しく学ぶヒント
子供にとって一番の学びは「楽しい」と感じることです。堅苦しい勉強ではなく、遊びや日々のコミュニケーションの中に自然とSDGsを取り入れてみましょう。
- 絵本や図鑑、ドキュメンタリーを活用する: 環境問題、世界の暮らし、動物や植物の多様性など、SDGsに関連するテーマの絵本や図鑑はたくさんあります。親子で一緒に読みながら、出てくる内容について話し合ってみましょう。子供向けの分かりやすいドキュメンタリー番組なども良いきっかけになります。
- 自然に触れる機会を作る: 公園で虫や植物を観察したり、季節の変化を感じたりすることで、自然の豊かさや大切さを実感できます。地域の清掃活動などに一緒に参加してみるのも良い経験になります。
- 家庭菜園や植物を育てる: ミニトマトやハーブなど、育てやすい植物を一緒に育ててみましょう。種から芽が出て育ち、収穫するまでの過程を通じて、命の尊さや食べ物ができるまでの大変さを学ぶことができます。
- 日々の会話で話題にする: ニュースでSDGsに関連する話題が出たら、「これはSDGsのこの目標と関係があるね」「自分たちには何ができるかな」といったように、難しくない言葉で話しかけてみましょう。子供が学校でSDGsについて学んできたら、ぜひ耳を傾けて一緒に考えてみてください。
家庭での実践を無理なく続けるためのヒント
SDGsの実践は、一度に全てを変える必要はありません。家庭の状況に合わせて、できることから少しずつ、楽しみながら続けることが大切です。
- 完璧を目指さない: 全てを完璧に行おうとすると、疲れてしまう可能性があります。まずは一つか二つ、家族で取り組みやすいテーマを選んでみましょう。
- 子供の関心に合わせる: 子供が動物好きなら「海の豊かさを守ろう」、食べ物に関心があるなら「食品ロスを減らそう」など、子供の興味に合わせたテーマを選ぶと、より意欲的に取り組める可能性があります。
- 家族みんなで協力する: お父さん、お母さんだけでなく、家族みんなで共通の目標を持って取り組むと、子供も「自分もチームの一員だ」と感じやすくなります。
- 変化を楽しむ: 「電気をこまめに消すようにしたら、電気代が少し安くなったね」「食品ロスを減らす工夫をしたら、冷蔵庫の中がすっきりしたね」など、実践による小さな変化やメリットを見つけて、家族で喜びを分かち合いましょう。
まとめ:子供との学びを通じて、家族の暮らしを豊かに
子供と一緒に家庭でSDGsを学ぶことは、未来のために大切な視点を育むだけでなく、親である私たち自身がSDGsをより深く理解し、日々の暮らしを見直す良い機会になります。
最初は小さな一歩からで構いません。身近なテーマについて話したり、一緒に簡単なアクションを実践したりすることを通じて、子供たちは持続可能な社会をつくることに関心を持ち、自分たちの行動が世界に繋がっていることを学びます。
そして、それは家族のコミュニケーションを深め、より健康的で、より経済的にも無理のない、心地よい暮らしを築くことにも繋がっていくはずです。子供たちの未来のために、そして自分たちの今日の暮らしのために、家族みんなで楽しみながらSDGsに取り組んでみましょう。